餓鬼草紙がきぞうし)” の例文
餓鬼草紙がきぞうしの絵に見るような、無数の浮浪者が、その大焚火をとりかこみ、地獄の正月みたいに賑わっている。
大岡越前 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
薄い唇をへの字にひき曲げ、青黒い沈んだ顔色で、これが痩せこけた肩をズリ下げるようにして、いつも前屈みになってセカセカ歩く。ちょうど、餓鬼草紙がきぞうしの貧乏神といったてい
ひどい裏店うらだなで、一軒一軒が生ける餓鬼草紙がきぞうしの絵だった。ドブ板さえき付にされている狭い路地を、女房は、何気なく通りかかった振りをして、雨垂れ泣きのれる台所から
田崎草雲とその子 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
軍鶏籠とうまるかごが、永代橋へかかるころから、差立ての列は、そこらに、群れをなしていた立ン坊だの、屑屋だの、軽子だの、乞食だの、まるで生ける餓鬼草紙がきぞうしみたいな、臭い人種に囲まれて
雲霧閻魔帳 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
梅渓ばいけい餓鬼草紙がきぞうしの中に住む
田崎草雲とその子 (新字新仮名) / 吉川英治(著)