ぴん)” の例文
其女そなたの一ぴんしょうを、みな自分勝手に受け取って、独りで恋をし、独りで悩み、独りで迷い、揚句あげくの果に——又これからも、生涯独りで彷徨さまよい出そうとしている
夏虫行燈 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
それに父の信之は、村方の肝煎きもいりから諸附合、家にゐることとては夜だけなのだ。從つて、癇癪持のお柳が一家の權を握つて、其一ぴんせうが家の中を明るくし又暗くする。
鳥影 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
ぴんしょう、少し大きなくしゃみをしても、とかく人気を呼びたがる役者にからまったできごとなのです。しかも、その役者が毎晩毎晩気味の悪い幽霊水に襲われるというのです。
右門捕物帖:23 幽霊水 (新字新仮名) / 佐々木味津三(著)