顫律せんりつ)” の例文
そして、ジャズの音が激しく、光芒のなかで、歔欷すすりなくように、或は、猥雑わいざつ顫律せんりつただよわせて、色欲のテープを、女郎じょろうぐものように吐き出した。
かれはその時総身に或るふしぎな顫律せんりつをかんじた。かれの眼にもはっきりとその姿が見えたからであった。
幻影の都市 (新字新仮名) / 室生犀星(著)
樹間このまをもる月影に照されたあさ子の、波打つ肉体の顫律せんりつを感じたとき、丹七は二十年の昔、河の中から引き上げられたあさ子の母の死骸に触れた時の感じを思い起してぎょっとした。
血の盃 (新字新仮名) / 小酒井不木(著)