頬辺ほつぺた)” の例文
旧字:頬邊
ほつと吐息をして眼をつぶる、剃刀が頬辺ほつぺたやりと辷る……怪しい罪悪の秘密と淫蕩な官能の記憶とが犇々と俺の胸を掻き毮る……
桐の花 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
「でも、俺はだ泣ける——さう思つたら嬉しかつた……余計に涙が出て来た……今日は頬辺ほつぺたが紅くなるほど泣いちやつた。」
出発 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
急に恐ろしくなつて粉紅こなべにの円い球をぐいと右の頬辺ほつぺたににじりつける、と紅い日の丸の烙印が如何にも道化らしくパツと燃え出す、面白い、左へもひとつぺたりとにじりつける、あはは
桐の花 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)