面胞にきび)” の例文
が、世界の美人を一人で背負せおって立ったツモリの美貌自慢の夫人がりに択って面胞にきびだらけの不男ぶおとこのYを対手に恋の綱渡りをしようとは誰が想像しよう。
三十年前の島田沼南 (新字新仮名) / 内田魯庵(著)
面胞にきびが一ぱいな、細長い黒い顔、彼らの一人息子で、父六郎と同職業のいささか新智識であるところの少年と青年のあいが、母親譲りの、細い小さな眼をもって、赤いシャツを着て出て来た。
いたって貧乏なケチな店だったが、『金毘羅利生記こんぴらりしょうき』を出版してマンマと失敗した面胞にきびだらけの息子むすこが少しばかり貸本屋かしほんや学問をして都々逸どどいつ川柳せんりゅうの咄ぐらいは出来た。
面胞にきびだらけの小汚こぎたない醜男ぶおとこで、口は重く気は利かず、文学志望だけに能書というほどではないが筆札だけは上手じょうずであったが、その外には才も働きもない朴念人ぼくねんじんであった。
三十年前の島田沼南 (新字新仮名) / 内田魯庵(著)