非度ひど)” の例文
何だってあんな非度ひどいことを民子に言ったっけかしら。今更なんぼ悔いても仕方がないけど、私は政夫……民子にこう云ったんだ。
野菊の墓 (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
妾の主人は、非度ひどいラヴ・レタの蛇なのです。恋愛過度、チタでレオ・トルストイに小説を書く方法を三万ルーブルも仕払って教ったのですが、いまの世の中で何んの役に立つものですか………。
飛行機から墜ちるまで (新字新仮名) / 吉行エイスケ(著)
定めし非度ひどい親だと思うだろうが、こらえてくれ、政夫……お前に一言の話もせず、たっていやだと言う民子を無理に勧めて嫁にやったのが
野菊の墓 (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
また一方には非度ひどく涙もろくて情的な気の弱いところのあった人である、それは長らくわずらって寝ていたせいでもあろうけれど、些細ささいなことにも非常に腹立って
竹乃里人 (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
市川の人達に聞かれたらば、斎藤のばあがどんな非度ひどいことを云ったかと思うだろう。十何年という間我子の様に思ってきたこともただ一度の小言で忘れられてしまったかと思うと私は口惜しい。
野菊の墓 (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
義郎君などは最も非度ひど痛罵つうばせられた方である。
竹乃里人 (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)