青桐あをぎり)” の例文
出窓の前の青桐あをぎりとほして屋根庇やねひさしの陰に、下座敷のひつそりした障子しやうじの腰だけが見えた。其処そこからは時々若夫人の声が響いて、すぐに消えるのだつた。
朧夜 (新字旧仮名) / 犬養健(著)
平次は庭から縁側へ廻つて、青桐あをぎりの葉影の落ちるあたりへ腰を下ろすと、お勢はいそ/\と立つて澁茶を一杯、それに豆落雁まめらくがんを少しばかり添へて出しました。
「窓の外には大きな青桐あをぎりがありますね。あの枝にブラ下がつて、北窓へ取付く工夫はないものでせうか」