雪冤せつゑん)” の例文
なぜと云ふに、逆意の有無を徳川氏に糺問きうもんせられる段になると、其讒誣ざんぶあへてした利章と對決するより外に、雪冤せつゑんの途はないのである。
栗山大膳 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)
私は此内面の争闘をけみした後に、しばらくは惘然ばうぜんとしてゐたが、思量の均衡がやうやう恢復くわいふくせられると共に、従来回抱してゐた雪冤せつゑんの積極手段が、全く面目を改めて意識に上つて来た。
津下四郎左衛門 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)