陵王りょうおう)” の例文
そのむかし、この顕家もまだ十四歳の左中将の若者であったころ、北山殿どの行幸みゆきに、花の御宴ぎょえんばいして、陵王りょうおうの舞を舞ったことがある。
私本太平記:10 風花帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
また大将の典侍腹てんじばらの二男と、式部卿の宮の御長男でもとは兵衛督であって今は源中納言となっている人の子のこの二人が「皇麞こうじょう」、右大臣の三男が「陵王りょうおう
源氏物語:35 若菜(下) (新字新仮名) / 紫式部(著)
万歳楽まんざいらく陵王りょうおうの舞まで出つくして、花の梢の夕月に、歓楽の疲れも淡く暮れるかと見えたころ、突如、後醍醐は引き直衣のうしのおすがたを椅子いすにかけ、横笛を取って、一曲吹いた……、そして
私本太平記:05 世の辻の帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
身にしむこともおもしろさもきわまるかと思われるころに、「陵王りょうおう」が舞われて、殿上の貴紳たちが舞い人へ肩から脱いで与える纏頭てんとうの衣服の色彩などもこの朝はただ美しくばかり思われた。
源氏物語:41 御法 (新字新仮名) / 紫式部(著)