阿弥陀経あみだきょう)” の例文
坊主が、眠むそうな声をして、阿弥陀経あみだきょうなどを読み上げるたびに、譲吉はかえって自分の純な悲痛の感情が、きずつけられるのを覚えた。
大島が出来る話 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
浄土宗は比較的呪願じゅがんを行わぬ方なれども、ある地に狐落きつねおとしの祈祷きとうする寺がある。そのときは狐つき病者を仏前に座せしめ、『阿弥陀経あみだきょう』を一誦いちじゅするそうだ。
迷信と宗教 (新字新仮名) / 井上円了(著)
阿弥陀経あみだきょうに描かれた浄土が、あらゆる芸術によって飾られていることは、この間の消息を語るものである。
古寺巡礼 (新字新仮名) / 和辻哲郎(著)
横佩家の郎女が、称讃浄土仏摂受経しょうさんじょうどぶつしょうじゅぎょうを写しはじめたのも、其頃からであった。父の心づくしの贈り物の中で、一番、姫君の心をにぎやかにしたのは、此新訳の阿弥陀経あみだきょう一巻いちかんであった。
死者の書 (新字新仮名) / 折口信夫(著)
あの阿弥陀経あみだきょうのなかに「諸上善人倶会一処しょじょうぜんにんくえいっしょ」というところがあるね。わしは多くの聖衆しょうじゅの群れにかこまれた。みな美しい冠をかぶっていらしたよ。わしはもったいなくて頭が下がった。
出家とその弟子 (新字新仮名) / 倉田百三(著)