阿呆陀羅経あほだらきょう)” の例文
旧字:阿呆陀羅經
そのそばに児守こもりや子供や人が大勢立止たちどまっているので、何かとちかづいて見ると、坊主頭の老人が木魚もくぎょたたいて阿呆陀羅経あほだらきょうをやっているのであった。
深川の唄 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
「こうなりゃ、何だって構やしません。庭訓往来なんてケチな事をいわずに、阿呆陀羅経あほだらきょうでも何でもやっておくんなさい」
これがホンマの阿呆陀羅経あほだらきょうだよ……スカラカ、チャカポコチャカポコチャカポコチャカポコチャカポコチャカポコ……
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)
私も覚えていた。女芸人が懐中電灯を掌にして踊りのようなことをしたのを覚えている。しづやは木魚をたたいて阿呆陀羅経あほだらきょうの真似をするのが巧かったそうである。
生い立ちの記 (新字新仮名) / 小山清(著)
……ところで、おれのような阿呆陀羅経あほだらきょうならいざしらず、街中を竿を抜身でかついであるくばかはない。
顎十郎捕物帳:04 鎌いたち (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
……「精神病院はこの世のいき地獄」という事実を痛切に唄いあらわした阿呆陀羅経あほだらきょうの文句……
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)
追悼ついとうといったところで、改まった催しではなく、阿呆陀羅経あほだらきょうみたいなお経をあげ、お互に隠し芸を持ち寄って、飲んで食って、花火が打ち止んだ頃お開きにすればそれでよかったのです。
口も動かぬ片輪かたわの木魚が。見たり聞いたりして来た話が。腹はからッポ公平無私だよ。タタキ出します阿呆陀羅経あほだらきょうだよ。地獄めぐりのチョンガレ文句が。ドンと一段、深みへ落ちます。
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)