間延まの)” の例文
成程そこは、つい先刻さっきから漏りはじめて、長い間延まのびた間隔を置き、忘れた頃に丸い大きなつぶらな玉が一つづつポタリと落ちて弾いてゐた。
竹藪の家 (新字旧仮名) / 坂口安吾(著)
左方のあがり段の上に閉じられていた間延まのびのした大きな障子が、がたがたと開かれて、鼠木綿が斑汚むらよごれした着附きつけに、白が鼠になった帯をぐるぐるといわゆる坊主巻ぼうずまきに巻いた
観画談 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
「買はう/\。」と間延まのびな聲で呼んでは、漁船の間を漕いで魚を買ひ集めて、買つた魚を籠に入れてをかへ上ると、今度は威勢のいゝ聲で「賣らう賣らう。」と叫びながら村中を驅け廻つてゐた。
避病院 (旧字旧仮名) / 正宗白鳥(著)