長処ちょうしょ)” の例文
早足と食溜くいだめなども昔の人の長処ちょうしょであった。一度にうんと食べて二日も三日も食わずに働けるのは体力で、単なる痩我慢やせがまんではできない芸当である。
木綿以前の事 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
今度はちがった角度からの批判をあやぶまないのみならず、次第に隣の学問の能力を理解し、折々はその長処ちょうしょを借りて、こちらの弱点を反省してみることができるようになった。
海上の道 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
そくざに敵をふせいで荷物を保護し得るという、たった一つの長処ちょうしょをのぞいては、以前さかんに行われた背負繩せおいなわの運搬の、かわりになるだけの力はもっていなかったのである。
母の手毬歌 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
荷物の分量をよほどのところまで増加し得られることで、そのために人が余計な労苦をすることになったけれども、一方にはまたこの二つの長処ちょうしょを利用して、中世いらいの我邦わがくにの交通は
母の手毬歌 (新字新仮名) / 柳田国男(著)