たく)” の例文
この時までに五六人の同僚が次第に出て来て、いつか机が皆ふさがっていた。八時のたくが鳴って暫くすると、課長が出た。
あそび (新字新仮名) / 森鴎外(著)
「でもね姉さん。晩はコワくてこまるの。誰も起きていないのに本堂でたくが鳴るんだもの。お父さんにきくと、鼠がふざけてしっぽで鐸を叩くんだって——。」
幼年時代 (新字新仮名) / 室生犀星(著)
唱出俳壇新韵鐸(俳壇に唱へ出す新韵しんゐんたく
大菩薩峠:34 白雲の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
外ではたくの音がこおろぎの鳴くように聞える。
(新字新仮名) / ライネル・マリア・リルケ(著)
号砲に続いて、がらんがらんと銅のたくを振るを合図に、役人が待ち兼ねた様に、一度に出て来て並ぶ。中にはまかないの飯を食うのもあるが、半数以上は内から弁当を持って来る。
食堂 (新字新仮名) / 森鴎外(著)