銀床ぎんどこ)” の例文
「驚いたね、ああして、男世帯の銀床ぎんどこえものは女っ気と亭主の片腕だと、町内でこんな評判を立てられているところへ、お前だけが俺に濡衣ぬれぎぬを着せようというものだ」
大菩薩峠:10 市中騒動の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
こう言って男女が山下の銀床ぎんどこという床屋へ入るのまで、お絹はちゃんと見届けてしまいました。
大菩薩峠:10 市中騒動の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
持っていたんでございますが、あの橋の真中へ吊される時に下へ落っこってしまったんでございます、桂川の水の中へ落してしまったんでございます。所、名前は山下の銀床ぎんどこの銀といって……
変ったといっても店の体裁ていさいや職人小僧のたぐい、お客の扱いに別に変ったところはなく、「銀床ぎんどこ」という看板、鬢盥びんだらい尻敷板しりしきいた毛受けうけ手水盥ちょうずだらいの類までべつだん世間並みの床屋と変ったことはない。
大菩薩峠:10 市中騒動の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)