鉄鉢てつばつ)” の例文
旧字:鐵鉢
口の中にかう言つて、かれは僧衣ころもの上に袈裟けさをかけて、何年ともなく押入の中に空しくころがつてゐた鉄鉢てつばつを手にして、そして出かけた。
ある僧の奇蹟 (新字旧仮名) / 田山花袋(著)
そこのかみさんは、面倒だと思つたかのやうに、一銭をその鉄鉢てつばつの中に入れてやつた。しかしかれは容易にその読経どきやうと祈念とをやめなかつた。
ある僧の奇蹟 (新字旧仮名) / 田山花袋(著)