かざし)” の例文
番の者へは、持仏じぶつやらかざしを与えて、やっと得心させて来たのです。あの小宰相だけは、日頃からさも誇らしゅう、この廉子や権大ノ局の小屋の前を
私本太平記:06 八荒帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
なまめかしい廂髪ひさしがみに美人草のかざしをさした千代子の姿がプラットホームに現われた。
駅夫日記 (新字新仮名) / 白柳秀湖(著)
そんな者の妻とは見えぬ嫋々なよなよしさであった。なしの花みたいな皮膚である。いやいや、かりに五ツぎぬを曳かせ、雲のびんずらに、珠のかざしかざさせなば……と、鬼六はめまいのような空想にとらわれた。
私本太平記:03 みなかみ帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)