野毛のげ)” の例文
野毛のげの橋がけられる。あくる万延元年の四月には、太田屋新田の沼地をうずめて港崎みよざき町の遊廓が開かれる。外国の商人館が出来る。
半七捕物帳:40 異人の首 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
野毛のげ町、戸部とべ町なぞの埋め立てもでき、開港当時百一戸ばかりの横浜にどれほどの移住者が増したと言って見ることもできない。
夜明け前:01 第一部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
当人たうにんまゐる気になりましたが、横浜よこはままゐるには手曳てひきがないからと自分の弟の松之助まつのすけといふ者をれまして横浜よこはまへまゐりまして、野毛のげうち厄介やつかいになつて
心眼 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
すると愕いたことには、今の今まで、そこにあった地上五十尺の高さを持った大倉庫は跡片もなく崩れ落ちて、そのかわりに思いがけなく野毛のげの山が見えるのであった。
棺桶の花嫁 (新字新仮名) / 海野十三(著)
翌三年十月御留守居支配仰付けられ同年十一月致仕ちし。時に年六十九。維新の後横浜野毛のげに家塾を開き生徒を教えていたが、明治八年七月東京に来り十月十七日浅草三筋町みすじちょうなる知人某の家に没した。
下谷叢話 (新字新仮名) / 永井荷風(著)