野三昧のざんまい)” の例文
……流灌頂ながれかんちょう——虫送り、虫追、風邪の神のおくりあと、どれも気味のいいものではない。いや、野墓、——野三昧のざんまい、火葬のあと……悚然ぞっとすると同時に、昨夕ゆうべの白い踊子を思い出した。
河伯令嬢 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
そこが、野三昧のざんまいの跡とも、山窩さんかが甘い水を慕って出て来るともいう。人の灰やら、犬の骨やら、いずれ不気味なその部落を隔てた処に、かすかにその松原が黒く乱れてふくろが鳴いているお茶屋だった。
古狢 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)