醵出きょしゅつ)” の例文
抽斎は自家の窮乏を口実として、八百両を先取さきどりすることの出来る無尽講むじんこうを催した。そして親戚故旧を会して金を醵出きょしゅつせしめた。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
校友会からおくる規定の餞別せんべつのほかに、特に生徒一人あたり一円ずつを醵出きょしゅつして何か記念品をおくること、送別式後、校友会委員を中心に有志の生徒を加え
次郎物語:04 第四部 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
飯田町が水戸浪士に軍資金三千両の醵出きょしゅつを約したことなぞはなおなおもってのほかだと言われよう。
夜明け前:02 第一部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
民衆の労働価値の大部分を自家の私有財産に組み入れている大資本家階級から、今度のように必要に応じて、一挙して数百万乃至ないし数千万円を醵出きょしゅつする事でなければなりません。
食糧騒動について (新字新仮名) / 与謝野晶子(著)
いま蜀中から銭糧せんりょうの資を醵出きょしゅつして戦力増加に当っているのは李厳その人ですから、その当事者と丞相との間に確執が生じては、戦力の上に大きな影響がないわけには参りません。
三国志:11 五丈原の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
かつ三千両の軍資金を醵出きょしゅつすべきむねの申し出があったというのもその時だ。
夜明け前:02 第一部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
三、飯田町にて軍資金三千両を醵出きょしゅつすること。
夜明け前:02 第一部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)