酒瓶さけがめ)” の例文
一斗入りの酒瓶さけがめ五個、荷駄につんで、花山院のお台所まで届けておけと、かねも先払いで貰っているというのである。
私本太平記:12 湊川帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
細長い酒瓶さけがめと、大きなさかづきでした。ピチ公はおしやくをしてやりました。そして彼が一杯飲むと、眼瞼まぶたをぱちぱち動かしてみせました。二杯目には、鼻の頭をひくひく動かしてみせました。
金の猫の鬼 (新字旧仮名) / 豊島与志雄(著)
すっぱりと気軽うなって——さらば城内にある限りの酒瓶さけがめをあけ、さむらいつどいせばやと云いはやし、あのとおりこの世の名残を酌み交わしているわけでおざる
新書太閤記:04 第四分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
夜に入ると陣の幕舎には酒瓶さけがめが持ちこまれ、勝軍かちいくさの気をげる心も手伝って、兵に、酒を汲ませながら
新書太閤記:04 第四分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
それがつい、お名も伺っておりません。後からすぐ追いついて行くというお約束なんでして。……へい。そのお人の見えるまで、ひとつ……お邪魔でない裏御門のすみッこへでも、酒瓶さけがめ
私本太平記:12 湊川帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「兄上、ちとばかり、酒瓶さけがめ美酒うまざけさげて参りました」宗業むねなりが訪れた。
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
素焼の酒瓶さけがめと、素焼の盃が、山伏たちの手から手へ移されていた。
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「なんだっ、これは」と、酒瓶さけがめを蹴仆した。
三国志:05 臣道の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)