遡行そこう)” の例文
スポーツの場合も同様であって、沢を遡行そこうして登りつめたところから漫然と尾根を下ったり、山の裾の岩壁を上り下りすることが、何故に登山と言えるであろうか。
ピークハンティングに帰れ (新字新仮名) / 松濤明(著)
だが潮にまかせて遡行そこうするいかだのことであるから、速力はいたってにぶかった。その日は中途ちゅうとで一ぱくし、一同は富士男の桃太郎物語などをきいて愉快ゆかいにねむりについた。
少年連盟 (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)
大同江が洪水中だった事実を知らずにいい気になって遡行そこうしたのが手落だったのだ。
撥陵遠征隊 (新字新仮名) / 服部之総(著)
「正雪の、隠れた女の家から出た、証拠物件の一つなんだが、それには、富士川を遡行そこうする旅次の記と、或る金額の受取の控えとおぼしき書き物があり、それにこの紋章がしてあったんだ」
山彦乙女 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
また、遡行そこうしてゆく。水悠々。人悠々。
随筆 新平家 (新字新仮名) / 吉川英治(著)