とゞろき)” の例文
其處には良い男のやくざ者とゞろき三次が、腰繩をうたれて、入舟町の佐太郎に見張られて居ります。轟の三次は二十五六の苦味走つた好い男でした。
一里とゞろき駅。一里半中原なかはる駅。二里神崎駅。小淵清右衛門の家に休す。駅中櫛田大明神祠あり。頗大なり。一里堺原さかひはら駅にいたる。無量寿山浄覚寺といへる一向宗の境内に高麗烏かうらいがらすあり。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
近頃になつて、お光のところへとゞろきの三次が逢ひに來るのを知つて、たうとうたまり兼ねて殺してしまつたのだらう。
默つて自分の配偶つれあひに持つ氣のなかつたことは、それはあまりにも明らかなことで、早くも柳原のやくざ者で、とゞろきの三次と仲がよくなり、町内の噂の種子たねになつたことは已むを得ない成行でした。