軽卒けいそつ)” の例文
旧字:輕卒
サンスクリットの両音相類似する所から軽卒けいそつにもあのような誤りを見たのである。茲においてか私は前論士の結論を以て前論士にこたえる。
ビジテリアン大祭 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
物を隠すというのも畢竟ひっきょう主従しゅうじゅうというへだてがあって、己は旦那様と云われる身分だから、手前の方でも己を主人と思えば、軽卒けいそつの取扱いも出来ず
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
といって何でも西洋風に限ると西洋風にばかり心酔して日本風の長処までを捨てるのも軽卒けいそつに過ぐるけれども事物を公平に観察してその長短善悪を判別するのが我々文学者の責任でないか。
食道楽:秋の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
しかもその私憤たるや、おのれの無知と軽卒けいそつとから猿に利益を占められたのを忌々いまいましがっただけではないか? 優勝劣敗の世の中にこう云う私憤をらすとすれば、愚者にあらずんば狂者である。
猿蟹合戦 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
全く間違って居る事ばかりと否定するのは軽卒けいそつな判断といわねばならん。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)