質草しちぐさ)” の例文
重吉は始めから質草しちぐさの乏しくなった時、お千代が何を言出すか、それによって最後の決心をしなければならないと思っていたのである。
ひかげの花 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
父親は乏しい質草しちぐさを次から次へと飲みあげ、濁声だみごえで歌をうたひ、まれには「女」といぎたなく船底にもぐつて眠つた。
水に沈むロメオとユリヤ (新字旧仮名) / 神西清(著)
「へエ、そんな間拔けなものを盜つて、どうするつもりでせう。質草しちぐさか何んかの足しになるでせうか」
「まさか質草しちぐさにもなりやしめえが、唯もう温めて良い心持になつてゐたんだらう」