説勧ときすす)” の例文
旧字:説勸
父や兄からもそれを最も賢い方法として説勧ときすすめられたが、彼れは馬の耳に風で聞流して、否か応かの返事をさえしなかった。
入江のほとり (新字新仮名) / 正宗白鳥(著)
若い二人の恋が愈〻いよいよ人目に余るようになったのはこの頃であった。時雄は監督上見るに見かねて、芳子を説勧ときすすめて、この一伍一什いちぶしじゅうを故郷の父母に報ぜしめた。
蒲団 (新字新仮名) / 田山花袋(著)
暮をどうして越そうかと、気をいらいらさせているお島に、そんな事に明い職人が説勧ときすすめてくれた。秘密にそれの周旋をしている家の、近所にあることまで、彼は知っていた。
あらくれ (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
けれど芳子はどうしても食べたくないという。細君が説勧ときすすめても来ない。時雄は自身二階に上った。
蒲団 (新字新仮名) / 田山花袋(著)
一日痛い頭脳あたまをかかえて奥で寝転んでいたお島の傍へ来て、姉は説勧ときすすめた。
あらくれ (新字新仮名) / 徳田秋声(著)