誇負こふ)” の例文
嗚呼人よ、東海君子国の世界に誇負こふする所以ゆゑんの者は、一に鮮血を怒涛に洗ひ、死屍を戦雲原頭にさらして、汚塵をぢん濛々もうもうの中に功を奏する戦術の巧妙によるか。
渋民村より (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
後世のいわゆる「万鍾ばんしょう我において何をか加えん」の気骨も、炯々たるその眼光も、痩浪人やせろうにんいたずらなる誇負こふから離れて、既に堂々たる一家の風格を備えて来た。
弟子 (新字新仮名) / 中島敦(著)
青年の声や態度の中に、余りに稚気ちき満々たる誇負こふを見たからである。
弟子 (新字新仮名) / 中島敦(著)