親父ちち)” の例文
ですが親父ちちが帰って来て案じるといけませんから、あまり遠くへは出られませぬ。と光代は浮足。なに、お部屋からそこらはどこもかしこも見通しです。
書記官 (新字新仮名) / 川上眉山(著)
うた敏速さそくの寶澤は空泣そらなきしてさても私しの親父おや養子やうしにて母は私しが二ツの年病死びやうしし夫より祖母ばば養育やういく成長ひとゝなりしが十一歳の年に親父ちち故郷こきやうの熊本へ行とて祖母ばばに私しを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
……品夫の父親というのは今から三十年ほど前に、親父ちちの玄洋が、この村の獣医として東京から連れて来た、実松さねまつ源次郎という男で、死んだ時が四十いくつとかいう事でした。
復讐 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
親父ちちももう帰って来る時分でございます。と光代は立ち上りぬ。ここらはゆッくり休むところもなくっていけませんな。と辰弥もついにまたの折を期しぬ。
書記官 (新字新仮名) / 川上眉山(著)