補填ほてん)” の例文
それがいわゆる通俗の英雄豪傑のした荒ごなしを補填ほてんして行って、人間の仕事に、不朽の光栄を残して行くようになっているのだ。
大菩薩峠:31 勿来の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
いや一週間に一隻の割で空母をこしらえて行っても、現在のようなおびただしい被害では、それを補填ほてんすることが出来ないのだ
諜報中継局 (新字新仮名) / 海野十三(著)
いずれもこれを人身売買と一つに見ることはひどいが、とにかくに家が失うものを補填ほてんする意味はあった。
木綿以前の事 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
むしろそういう点を認める事がその学説の補填ほてんに対する階段と見なすべき場合の多い事である。
相対性原理側面観 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
これは沼間氏一個人の大思惑だいおもわくで、他人の名儀でひそかに投資していたものだから、損害の補填ほてんがつかぬうちにこの事実が暴露すると、沼間氏は、当然、背任横領の罪に問われなければならない。
キャラコさん:01 社交室 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
……で、結論でありまするが、要するにわが国ユー・エス・エーの最大の弱点は人的資源の減少に在り、これを補填ほてんする一つの有効なる方法として、余が述べ来りたる人体集成手術隊じんたいしゅうせいしゅじゅつたいの編成が急がれるのであります
諜報中継局 (新字新仮名) / 海野十三(著)
そして日本の生産力では、とてもここ二ヶ月三ヶ月では補填ほてん出来なかろう。だから今なら強引に進めるのだ。敵日本の方ではわが国の物量がまだこんなにあったのかとおどろいて、皆憂鬱ゆううつな顔になるぜ。
諜報中継局 (新字新仮名) / 海野十三(著)