裏局うらつぼね)” の例文
ふけ行く夜に奧も表も人定まりて、築山つきやま木影こかげ鐵燈かねとうの光のみわびしげなる御所ごしよ裏局うらつぼね、女房曹司の室々も、今を盛りの寢入花ねいりばな對屋たいやを照せる燈の火影ほかげに迷うて、妻戸を打つ蟲の音のみ高し。
滝口入道 (旧字旧仮名) / 高山樗牛(著)