おくみ)” の例文
「それそれそのおくみは四寸にしてこう返して、イイエそうじゃありません、こっちよこしなさい、二十歳はたちにもなッて、お嫁さまもよくできた、へへへへ」
小説 不如帰  (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)
袖付やおくみの皺が、苔でも置いたようなしっとりした青味あおみたにをつくって、いうにいえないいい味わい。……
姦(かしまし) (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
お夏はおくみを取って揃えると、腰から乳の下に下〆を無造作にぐるぐる巻、あてがってくれる帯をして、袖を上へ投げて肩にかけた。附添の婦人おんなと立って背後うしろへ廻る。
三枚続 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
五年生の教室は川っぷちに新らしくった校舎のとっつきであった。川にむかった窓からのぞくと、おくみのような形の、せまい三角地をはさんで、高い石垣いしがき川床かわどこまで直角に築かれていた。
二十四の瞳 (新字新仮名) / 壺井栄(著)