衡門かぶきもん)” の例文
入口は衡門かぶきもん也。出口は偉大なる屋根門なるが、その左右に室ありて、恰も寺の仁王門の如し。余はその右室を占めて、呍の仁王となる。
阿武隈川水源の仙境 (旧字旧仮名) / 大町桂月(著)
衡門かぶきもんから筋向ひの家に、それは/\大きい楠が一株、雨も洩さぬ程繁つた枝を路の上に擴げてゐた。——靜子に訊けば、それが今猶殘つてゐると言ふ。
鳥影 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
門は地味な衡門かぶきもん。それが当節飛ぶ鳥を落す、将軍寵姫ちょうき外戚がいせき、土部三斎の住居であった。
雪之丞変化 (新字新仮名) / 三上於菟吉(著)
衡門かぶきもんから筋向ひの家に、それは/\大きい楠が一株ひともと、雨も洩さぬ程繁つた枝を路の上に拡げてゐた。——静子に訊けば、それが今猶残つてゐると言ふ。
鳥影 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
庭には小さいながらも池があつて、赤い黒い、尺許りの鯉が十ぴきも居た。家の前には、其頃村に唯一つの衡門かぶきもんが立つてゐた。叔父の家のは、とうに朽ちて了つたのである。
刑余の叔父 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)