血塔けっとう)” の例文
幾多いくたの罪人を呑み、幾多の護送船を吐き出した逆賊門はむかしの名残なごりにそのすそを洗う笹波ささなみの音を聞く便たよりを失った。ただ向う側に存する血塔けっとうの壁上におおいなる鉄環てっかんがっているのみだ。
倫敦塔 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)