虎列剌コレラ)” の例文
「アーッ。ウハフハフハフハフィット……と……何だろう一体……嘔きよるらしいが……まだ虎列剌コレラの出る時候じゃないようだが……」
霊感! (新字新仮名) / 夢野久作(著)
が、幸か不幸か、結婚した翌年宗兵衛は安政五年のコロリ大流行(今で云う虎列剌コレラ)で、不意に死んでしまいました。
ある恋の話 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
安政五年の七月から八、九月にかけて、江戸には恐るべき虎列剌コレラ病が流行した。いわゆる午年うまどしの大コロリである。
半七捕物帳:55 かむろ蛇 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
虎列剌コレラ病博士とか腸窒扶斯ちょうチフス博士とか赤痢せきり博士とかもっと判然と領分を明らかにした方が善くはないかと思う。
道楽と職業 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
近く比喩たとえを以てこれを示さんに、不品行によりて徳を害するも、虎列剌コレラ毒に触れて身を害するも、その害は同様なるべし。然るに今虎列剌コレラの流行に際して我が保身の法を如何いかんするや。
日本男子論 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
万一これが毒殺事件でなくて、真正の虎列剌コレラだったらトテモ重大な黴菌だらけの道行だからね。B町の署長と町長は神様に手を合わせて
無系統虎列剌 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
虎列剌コレラ菌なし。酸性反応云々」までは顕微鏡とリトマスだけで直ぐにわかる。仕事が極めて簡単だが、アトの分析はナカナカ面倒臭いからね。
無系統虎列剌 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
みんな虎列剌コレラを怖ろしがって、外から雨戸を目張りしただけで消毒したらしく、家の中の品物が一つも動かしてなかったのが非常な天祐であった。
無系統虎列剌 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
実際ソンナ一時的の神経障害が在り得ることを前以て知っていなければ、私はあの時にマラリヤと虎列剌コレラが一所に来たと思って狼狽ろうばいしたかも知れないのであった。
戦場 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
よく虎列剌コレラとか、赤痢せきりとかいう流行病の病源地と認められる事があるので、その手の病原菌を使うと手軽でいいのだが、しかしこの種のバクテリヤは、その人間の体質や
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)
「ヘエ。一昨年おととしの大虎列剌コレラの時に死にましたので……」
いなか、の、じけん (新字新仮名) / 夢野久作(著)