藏人くらんど)” の例文
新字:蔵人
奧へ通されると、入棺するばかりになつて居る、有馬之助の死骸を挾んで、主人の藏人くらんどと、奧方のお由良は、かつつての日の虚勢もなく唯さめ/″\と泣いて居ります。
これはそのとき十九歳の五位ノ藏人くらんど經光が目撃してその日記『民經記』にかいてゐる状況である。
折々の記 (旧字旧仮名) / 吉川英治(著)
小河縫殿助ぬひのすけ、小河織部、久野四兵衞、小河專太夫、畝町には井上監物けんもつ、吉田壹岐いき、伊丹藏人くらんど、高橋忠左衞門、小河長五郎、金出口には野村右京、加藤圖書づしよ、村田出羽、毛利又右衞門、久野外記げき
栗山大膳 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)
こいつは讀むのにコツがありますよ。お弓町の多良井藏人くらんど樣のお腰元お玉が死んだ。自害といふことになつてゐるが、人に殺されたに違ひない。親分のお力で下手人を擧げて、お玉のうらみ
「宗次郎が歸つたあとで主人に會ひ、疑はれもせずに易々やす/\と殺せるのは、元吉か藏人くらんどか清松の外にない。清松はそれほどの深いたくらみのある男でなし、藏人は二本差のくせに、猫の子のやうな男だ、それに」