蓮花はちす)” の例文
そして蓮花はちす池畔ちはんから前の石橋の上までかかると、朱同はアッと顔色を変えた。どこへ行ったのか、主人の子が見えないのである。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「しからば、泉があるだろう。あんな美麗な蓮花はちすが咲いている池があるのだから、どこぞに、冷水がいているにちがいない」
三国志:02 桃園の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「オオ……何やら美しい……蓮花はちすがにおう……妙なあのは、しょうの音か、頻伽びんがの声か。……蓮華れんげが降る、皆さま、蓮華が降って、私の顔にかかります」
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
丘陵に抱かれている一叢ひとむらの木立と沼があった。沼には紅白の蓮花はちすがいっぱい咲いていた。
三国志:02 桃園の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
西門慶は、思い入れたっぷり、金蓮の顔を眼のすみからぬすみ見る。さっきから少しずつ酒も入っていた金蓮の皮膚は、そのとき名の如き蓮花はちすの紅をぱっと見せてし目になった。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
あたかも蓮花はちすの開くように、さっと、陣形をひろげたかと見るまに、に物を握るごとく、敵をつつんで、八方から射浴びせ突き殺し、あわてて駒を返そうとする麹義を見かけるなり、趙子龍は
三国志:03 群星の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)