葭切よしき)” の例文
初夏の午後には葭切よしきりの鳴くを聴き、月のあきらかな夜には風露の蕭蕭しょうしょうと音する響を聞いて楽んだ。
向嶋 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
本所ほんじょ茅場町かやばちょうの先生の家は、もう町はずれの寂しいところであった。庭さきのかきの外にはひろい蓮沼はすぬまがあって、夏ごろはかわずやかましいように鳴いていた。五位鷺ごいさぎ葭切よしきりのなく声などもよく聞いた。
左千夫先生への追憶 (新字新仮名) / 石原純(著)