落暉らっき)” の例文
途端に、見はるかす眼下の森、谷、巌から、其等が大きく傾斜して海に続く迄の風景が、雨あがりの落暉らっきの中に、見る見る鮮明さを加えて浮かび上った。
光と風と夢 (新字新仮名) / 中島敦(著)
一しきり休むとまた馬にまたがり、がむしゃらにけ出す。終日乗り疲れ黄雲こううん落暉らっきくんずるころになってようやく彼は幕営ばくえいに戻る。疲労だけが彼のただ一つの救いなのである。
李陵 (新字新仮名) / 中島敦(著)