萌芽はうが)” の例文
平八郎は其儘そのまゝ端坐たんざしてゐる。そして熱した心の内を、此陰謀がいかに萌芽はうがし、いかに生長し、いかなる曲折をて今に至つたと云ふことが夢のやうに往来する。平八郎はかう思ひ続けた。
大塩平八郎 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
将来発展すべき萌芽はうがをも持つてゐる積りである。併し帰つて行く故郷には、その萌芽を育てる雰囲気が無い。少くも「まだ」無い。その萌芽もいたづらに枯れてしまひはすまいかと気遣はれる。
妄想 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)