荼毒とどく)” の例文
願わくば、乱将義貞誅伐ちゅうばつの勅許をたまわりたい。つくすべき忠も、荼毒とどくの輩が君のかたわらにはびこっていたのでは捧げようもない。
私本太平記:10 風花帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そこで社主が代って、あの調子を社会を荼毒とどくするものだと認めたとしよう。一般の読者を未丁年者として見る目で、そう認めたのは致し方がない。
青年 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
或は廝養しようの児、瓜葛かかつの親有れば則ち伝に乗じ、風行雷動す。地方の供給やや遅くして、馬上の鞭撻立所に至る。人民を荼毒とどくし、官府を奴隷にし、扈従臨むところ野に青草無し。
続黄梁 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
「おどろき入った諫議の献言です。かかる悪思想を抱くやからは、一日も参議の列に加えおくわけにゆきますまい。列臣の心を荼毒とどくするもの、怖るべきものがありまする」
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)