草花そうか)” の例文
君語つて曰く古めかしき草花そうかは植木屋にたのみてもなかには間々ままその名をさへ忘れられしものなぞありて可笑おかしと。さもあるべし。
一夕 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
木村は印東いんどうの西洋草花そうかなんぞを買つて来て調べてゐたが、中には種性すじょうの知れないものが出来て来た。
田楽豆腐 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
ただ此処に一つ不思議なことは、死んでいる老人の右の手が草花の種子たねを握っていることで、或は老人が裏の耕地へ草花そうかの種子を下している所を狙い撃ちされたのかも解らない。
死の復讐 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
私は喜多川歌麿きたがわうたまろの描いた『絵本虫撰むしえらび』を愛してまざる理由は、この浮世絵師が南宗なんそうの画家も四条派しじょうはの画家も決して描いた事のない極めて卑俗な草花そうかと昆虫とを写生しているがためである。