草履穿ぞうりば)” の例文
その翌朝になって、七兵衛はちょっとした羽織を引っかけて草履穿ぞうりばきで、小風呂敷をわきにかかえて、島原へやって来ました。
庸三も田舎いなか育ちだけに、大きい景勝よりも、こうしたひそやかな自然に親しみを感じた。二人は草履穿ぞうりばきで、野生児のようにそこらをけまわった。
仮装人物 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
「今晩は、——饂飩六ツ急いでな。」と草履穿ぞうりばきの半纏着はんてんぎ、背中へ白く月を浴びて、赤い鼻をぬいと出す。
歌行灯 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「だがその膝行袴たっつけが少し変だよ、それじゃ第一、草履穿ぞうりばきでは恰好かっこうがつかない」
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
家の者が寝静まった頃を見計らって、よいのうちから用意しておいた手荷物を取纏とりまとめ、草履穿ぞうりばきでこの漁師の家の裏口から首尾よく忍び出てしまいました。
大菩薩峠:07 東海道の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)