草埃くさぼこり)” の例文
と、民八の後につづき、野火のほのおを越えてゆくけもののような迅さで、草埃くさぼこりを揚げながら、街道の並木へ出た。
宮本武蔵:05 風の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
弟の謙三郎の小さい体が、砂を浴びる山鳥のように、草埃くさぼこりにつつまれて、だっと槍もろとも、躍ったと思うと、兄の紀一郎は物すごい勢いで仰向けに突き仆されていたのだった。
剣の四君子:04 高橋泥舟 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
何処からか彼が土瓶どびんの湯を提げて戻って来た頃、野の真ん中には、草埃くさぼこりが煙っていた。法師たちの試合が始まったのである。群衆は、大きな輪を作って、それを見物に詰め寄った。
宮本武蔵:08 円明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
と、塔十郎は草埃くさぼこりを払って、腰を上げながら、坂を下りはじめた。
牢獄の花嫁 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
草埃くさぼこり
宮本武蔵:08 円明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)