茶褐ちゃかつ)” の例文
薩摩絣さつまがすりあわせ小倉こくらはかま穿いて、同じ絣の袷羽織を着ている。被物かぶりものは柔かい茶褐ちゃかつの帽子で、足には紺足袋に薩摩下駄を引っ掛けている。当前あたりまえの書生の風俗ではあるが、何から何まで新しい。
青年 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
ところで、その子はビールの空瓶あきびんふなべりから、ぽんと水に投げる。瓶は初め茶褐ちゃかつに、のちは黒く、首だけもたげもたげしてながれに浮く。青の紫のかもの首、うしろにうしろに遠くなる。それほど舟が早いのだ。
木曾川 (新字新仮名) / 北原白秋(著)