芥溜ごみた)” の例文
私が空っぽの胃をきずってひょろひょろ街を歩いているうちに、ある家の芥溜ごみための中に、げついて真黒なめしが捨ててあるのを見て、そっとそれを口に入れたことを。
根太板を剥がれた床下ゆかしたは、芥溜ごみためのように取り散らしてあった。そのなかに一つの大きい橙の実が転げているのを拾わせて、半七は手に取って眺めた。橙には龍という字があらわれていた。
半七捕物帳:56 河豚太鼓 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
酒宴は真っ平だ。貴公らの眼や口には、酒池肉林しゅちにくりんが馳走に見えるか知らんが、わしの眼から見るとまるで芥溜ごみためを囲んで野犬がさわいでいるような気がする。そんな所へすえられて、わしを
三国志:05 臣道の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)