艸冠くさかんむり)” の例文
(短刀をお抜き、さあ、お殺し、殺しように註文がある。切っちゃ不可いけない、十の字を二つ両方へ艸冠くさかんむりとやらにいわくをかいて。)
日本橋 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「名はちょう」と指で書いて見せて、「艸冠くさかんむりがよけいだ。字引にあるかしらん。妙な名をつけたものだね」と言う。
三四郎 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
これも禿筆の走り書で、——先刻の礼を言って、薬を送る——とあるだけ、かなりの達筆ですが、薬という字の艸冠くさかんむりを忘れて、楽となっているのは、愛嬌です。
しかるに艸冠くさかんむりをつけて薼の字を書く人あり。後者は艸名そうめい(よもぎの訓あり)ならん、「ちり」の字にはあらず。こはちり草体そうたいが艸冠の如く見ゆるより誤りしか。
墨汁一滴 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
「名はちよう」とゆびいて見せて、「艸冠くさかんむりが余計だ。字引じびきにあるか知らん。妙な名を付けたものだね」と云ふ。
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)