舷側ふなべり)” の例文
ふとお艶は、上気した頬にこころよい夜気を受けて舷側ふなべりにうつ伏した。その肩へ、栄三郎の手がいたわるように伸びてゆくと——
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
船底の重心板センター・ボードは粘土質の海底に接触し、舵板ラダーの蝶番には長海松ながみるが少しばかり絡みつき、そして舷側ふなべりの吃水線には、一様に薄穢い泡が附着します。
死の快走船 (新字新仮名) / 大阪圭吉(著)
陰と陽が判然と区別がついて、幾千となく弁天浜の側に群がつて居る和船の舷側ふなべりの木目が黄金色に色彩られる。
帆は満面に風を孕んで、舷側ふなべりに波を立てながら、早く早く進んで行つた。
船路 (新字旧仮名) / 田山花袋田山録弥(著)
舷側ふなべりにいた一人が叫んだ。
流血船西へ行く (新字新仮名) / 山本周五郎(著)