けん)” の例文
で、細っこい脛ながら、武道で鍛えたけんの逞ましさ、そいつを蒼白い月光に、生々なまなまと見せてムキ出しにし、延び延びと立った九十郎
血煙天明陣 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
Foxterriersフォックステリエエ の筋肉のようです。けんがしっかりしていて太いので、関節の大さが手足の大さと同じになっています。
花子 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
わずかに残った胡麻塩ごましおの毛が、後頭部を半ばおおった下に、二筋のけんが、赤い鳥肌とりはだの皮膚のしわを、そこだけ目だたないように、のばしている。
偸盗 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
「骨じゃないんで。筋ともちがう。アキレスけん、いうんじゃがのう。骨よりも、むつかしいとこで」
二十四の瞳 (新字新仮名) / 壺井栄(著)
その血まみれの口から真白いけんが二三寸ばかりも抜け出ていたそうで、苦しまぎれに
(新字新仮名) / 蘭郁二郎(著)
小さい杯は琥珀いろの手の、けんばかりから出来ているような指を離れて、薄紅のむっくりした、一つの手から他の手に渡った。
(新字新仮名) / 森鴎外(著)
蒼黒あおぐろい掌だけの指が、シッカリと軸を掴んでいるのだ、手首のところからすっぽりともげて、掌だけが、手袋のような恰好で……、手首の切れ目から、白い骨とけんがむき出され、まだ
鉄路 (新字新仮名) / 蘭郁二郎(著)
大石先生のけががアキレスけんがきれたということも、二、三か月はよく歩けまいということも、それらはみんな、こしすずをつけて歩きまわっているチリリンヤが聞いてきたものだった。
二十四の瞳 (新字新仮名) / 壺井栄(著)
学生は挨拶あいさつをして、ロダンの出した、けんの一本一本浮いている右の手を握った。La DanaideダナイイドLe BaiserベゼエLe Penseurパンショオル を作った手を握った。
花子 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
じぶんのアキレスけんのあたりをさすってみせ
二十四の瞳 (新字新仮名) / 壺井栄(著)