肚黒はらぐろ)” の例文
キャラコさんのつもりでは、この人参で、老人にちかづきになるキッカケをつくろうという肚黒はらぐろい計画なのである。
キャラコさん:10 馬と老人 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
肚黒はらぐろい密事をらし、しかも明日は、いとさりげなく、あなた様を清洲に待とうと致しておるものにござりまする
新書太閤記:08 第八分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
おせい様も、おせい様だ、磯五の肚黒はらぐろにはすこしも気がつかずに、すっかりまるめられて、近いうちに、磯屋へ迎えられて行く気でいるのだ。お高は、かなしくなった。
巷説享保図絵 (新字新仮名) / 林不忘(著)
ところで、海賊王デルマにはもう一人、ツクーワという部下がおったが、こいつは肚黒はらぐろいやつで、デルマを裏切ったことがあるので、放逐ほうちくされて宝のわけまえにあずからなかった。
少年探偵長 (新字新仮名) / 海野十三(著)
察するところ、あの折、いやに凄みをふくんだ表情で帰って行ったのは、後にこのことをもって、思い知らしてやるという肚黒はらぐろい考えであったかも知れない。
宮本武蔵:03 水の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)