聾者ろうしゃ)” の例文
それでその著者は聾者ろうしゃのための音楽が可能であろうということを論じ、また普通の健全な耳を持っている人でも
試験管 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
かつて佐藤春夫が云ったことに聾者ろうしゃ愚人ぐじんのように見え盲人もうじん賢者けんじゃのように見えるという説があった。
春琴抄 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
あたかもそれらの壁は、聖書にあるあの聾者ろうしゃの石ででも造られてるかのようであった。
ゆえに万国の歴史を読まざるものは、聾者ろうしゃに劣る。
それからまた、しばらくの間は聾者ろうしゃになったような気もした。何も聞こえなかった。
これはパリに限らずわれわれの日常生活の環境における明白な事実である。こういう意味でわれわれはわれわれの直接の対話の相手の言葉以外にはかなりな聾者ろうしゃであり、また「外国人」である。
映画雑感(Ⅰ) (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
酩酊めいていによってますます高まる欲望、人を聾者ろうしゃにし愚昧ぐまいにする繁栄、ある者らにあっては苦しめる人々に背中を向けるほどの、苦痛の恐れ、頑迷がんめいな満足、魂の口をふさぐほどふくれ上がってる自我。